POCに行って来ました

 この間の土日(3月24・25日)に、医院を休診にして「第1回パシフィック・オッセオインテグレーション・カンファレンス(POC)」に東京へ行って来ました。 現在のインプラントの源流であるスウェーデンのブローネマルクを日本に導入した小宮山先生が会長となり今年初めて行なわれた学会ですが、その目的は同氏の次の挨拶文の中に簡潔に述べられています。 (「インプラント療法が、現代歯科学における有力な一選択肢であることは論を待ちません。 科学的な背景を持たない方法が、安易に臨床応用された場合にはどのような結果を招くのか、多くの歯科医師は認識していると思われます。 にもかかわらず、現実にはインプラント療法により所期の回復が得られないといった問題点が増えつつあり、一般の患者あるいは一部の歯科医師からインプラント療法が再び唾棄すべきものと捉えられかねません。 このような状況になる前に、一人でも多くの患者が、適切な治療により快適な生活を享受できるように、歯科医師が正しい知識、適切な医術、そして真摯な心構えを学ぶことが求められています。(後略)」)

 定員700人の会場はほぼ満席で、まずブローネマルク先生のブラジルからの衛星中継による講演が行われました。 総論ではインプラントを用いて快適な口腔内の状態がより多くの患者さんに享受されることを願っている事が、ひしひしと伝わってきました。 残念ながらインプラントはまだ経済的な問題で浸透する事が阻害されていますが、その解決が課題であるようです。 現在の仕事の紹介では、ほとんどが顎顔面補綴および四肢や手指などの機能回復の症例でした。 ご年齢を感じさせない精力的な活動に感銘を受けました。

 その後に少し小宮山先生によってブローネマルクとその日本への紹介の歴史が話されましたが、前に書いた様に私が大学在学中がまさにその時期にあたり、当時の雰囲気も納得できるものでした。 またそれを考えると当時母校のインプラントグループで行なわれていた一連の業績は、極めて先進的であったこと、さらにそれがあまり日の目を見ないことは(もちろん私は全く当事者ではないのですが、何人かの友人がそこにいたことから)あらためて残念な事だと思いました。

(2007年3月28日) 

POCに行って来ました(その2)

 他の3人のスピーカーは、フランスのF.Renouardにより「低侵襲のインプラント治療」として、フラップレス(歯肉の切開、剥離を行なわない術式)、グラフトレス(骨移植を行なわない)、ショートインプラント(短いインプラント)について講演されました。 近年大規模な骨移植等を伴った再建がもてはやされてきた傾向がありますが、患者に対する侵襲の低減ということに重点を置いたアプローチについて述べられたのですが、特に短いインプラントの使用についてはこれまでも問題ないという意見はあったものの、多くの症例を示した説得力のあるものでした。

 次いでスイスのC.Haemmerleにより「上部構造と材料選択」および「抜歯窩の治癒とインプラント」として、治療計画および前提となる診断の重要性とその方法が、整然と述べられました。 特にスライドの症例は審美性に優れたものばかりで、その臨床のアプローチの正しさを裏付けるものでした。

 さらにスウェーデンの歯周病学者 T.Berglundhにより、「インプラントの生物学的トラブル―頻度と診断」および「リスク、影響因子と治療」として、インプラントの失敗に関わる特に歯周病学的な問題点が述べられました。 高い成功率を強調するだけでなく、特に患者単位での失敗率を正しく見るべきであること、またインプラント周囲炎に対する対処方法については、臨床的にも非常に役立つものでした。

 最後に3氏と実行委員の先生方によるシンポジウムが3時間行なわれ終了となりました。 実行委員による最後の挨拶では、今回を第1回としてこれから大学の研究者を中心とした学会に発展させていきたいとのことでした。 非常に充実した2日間でしたが、1日目10〜20時、2日目9:30〜16:30という長丁場でさすがに尻と背中が痛くなりました。

(2007年3月31日) 

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