補綴学会(神戸)に行ってきました

 5月18日金曜日の診療は5時半で終わらせていただき、大急ぎで神戸に向かいました。

 次ぐ19日土曜日の9時からの日本補綴歯科学会第116回学術大会(第5回アジア補綴歯科学会併催)にポートピアホテルへ向かいました。 補綴学会は昨年から年1回の開催となり、参加者も集中するせいか、会場は大変な人込みでした。 開業医にとっては一般講演(いわゆる学会発表)をずっと聴いているのは大変ですが、最近の学会は特別講演やシンポジウム、セミナーなどが数多く組み込まれており、臨床に直結する勉強ができるようになっています。 それにしても朝9時から夕方6時過ぎまでのプログラムにずっと出ているとかなり疲れます。

 一日目のなかではSDAに関するシンポジウムが興味あるものでした。 北欧で80年代に提唱されだしたSDA(Shortend Dental Arch)とは要するに最も後ろの臼歯何本かは補綴しなくても支障がない、補綴することの害の方が大きいという考え方で、医療経済的に利用される可能性が非常に大きい概念です。 補綴学会ではこれに対して複数の研究機関で多方面から検証を行なっており、その報告としてのシンポジウムでした。 この概念が日本に紹介されてから、日本と欧米の食文化の違いや歯列の形の違いなど、日本人には当てはめにくいのではないかという議論がなされてきました。 このシンポジウムでも同様に、やはりすべてこの考えで行ってしまうのは如何なものか、「SDAでも良い場合がある」という考えに落ち着いていたと思います。 また昼食時に行なわれたランチョンセミナーでは、審美歯科補綴の基礎、基盤である歯の形成(きれいな形に削る事)を主なる話題として取り上げられていました。 これは恥ずかしながら知らない事も多く、非常に勉強になりました。

 2日目はインプラントの咬合(かみ合わせ方)に関するシンポジウムが午前中いっぱいありました。 インプラントが非常に浸透してきた現在にあっても、その咬合に関して確立した理論がない、というかいろんな人が10人10色のことをいっている感があります。 これはインプラントの研究や臨床が、口腔外科、歯周病科、補綴科、さらにはインプラント専門家を名乗る人達など、多くの分野で行なわれてきたことが最も大きいと思います。 咬合の専門家である補綴科としては、これに対してきちんとした意見を持つべきだと思います。 結局本シンポジウムでは天然歯の咬合と特に変化させる必要はないが、インプラントのもつ特性を考慮して歯列全体の咬合の変化に対応できるように観察していかなければならない、という結論になったと思います。 もっと言ってしまえば、天然歯の咬合も「こうすればうまくいく」という統一的なものはないのであって、病的でない状態を保てるように全体の変化に対応していくしかないのです。 それにインプラントも含んで考えましょうという事だと思います。

 午後は専門医研修会として総義歯の咬合が取り上げられました。 最近定着している「リンガライズド・オクルージョン」の話でしたが、これらに関しては別の機会に。

 学会に行ってもうひとつ楽しみなのは、旧知の顔に出会うことです。今回も教室に在籍中にお世話になり現在は母校の教授となっているT先生、新潟大学の教授になった同級生のU先生、同じオーケストラでビオラを弾いていた2年先輩で、現在総義歯の教室にいるM先生など、親しくお話しをすることができました。 みなほとんど1年ぶりに再会するにもかかわらず、毎日一緒に仕事をしているような話しかたをしてくれる、非常にありがたくも楽しいひと時でした。

(2007年5月26日) 

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