ソフトティッシュマネジメント講習会

 6月14日の講習会は、インプラントのメーカーであるノーベルバイオケアによるもので、審美やマイクロスコープの世界で名高い鈴木真名先生による講演でした。

 ソフトティッシュマネジメントとは、簡単に言うと歯やインプラントの周りの歯肉の取り扱いのことです。
 歯やインプラントは顎の骨にしっかりと植立していることがまず重要ですが、それに劣らず周辺の歯肉の状態も大切です。 口の中の粘膜には頬や舌の下のように引っ張ると動く部分と、歯の周りや口蓋のように骨にしっかりとくっついている部分、すなわち付着歯肉があります。 そして歯やインプラントの周りには一定の量のこの付着歯肉があることが望ましいとされています。
 もちろん天然歯に関しての事のほうが長いこと研究されているのですが、厳密に言うと絶対に無くてはならないものではないが、あったほうが健康が保たれ易い、無い状態では非常に注意深いプラークコントロールが必要である、ということです。 そのため、あるグループでは付着歯肉を作る手術が積極的に行われ、またあるグループではプラークコントロールを厳密に行う、という臨床的な違いが見られます。

 もともと必ず手術的な手技を伴うインプラントでは、その際にできるだけこの歯肉を保つ、作ることが重要になります。 具体的には、インプラントを植立する部分が歯肉の中だった場合、それを保存してインプラントの周りに残るようにする、そうでない場合はいつかの時点で歯肉や他の組織を移植してこれを作る、ということです。
 インプラントの先生の中には外科系、補綴系、歯周治療系の3系統の先生がいらっしゃるのですが、歯肉の細かいことに関してはやはり歯周治療系の先生が得意とするところです。 そして、これまで骨を作るダイナミックな手技についてはずいぶん語られてきましたが、ソフトティッシュの扱いについては比較的最近注目されている部分だと思います。
 というのも移植や人工材料で苦労して作った骨が、けっこう吸収してしまうものだということがわかってきたこと。 またそれを保つために歯肉の厚さや健康が重要であることが言われてきている事があるのだと思います。

 今回の講習は、主に結合組織移植という手術についてのものでした。 これは上記のような歯肉を増やすための手術のひとつで、口蓋部等から上皮の下の組織を移植して持ってくるものです。 鈴木先生はそれをマイクロスコープを用いた非常に繊細な手術で行っています。 模型によるデモや手術ビデオを交えた丁寧なご講演でしたが、ひとつ安心したのは、細かいことをとってもゆっくりやっているということでした。 一般的に外科手術においては、外気に触れることによる組織の損傷を少なくするために「速さ」が重要な要素のひとつとされています。 しかし細かい仕事はゆっくりでも丁寧さが大事だと強調されており、神業のようなすごい速さで細かいことをやるのでは、と思っていた私としてはホッとした次第です。

(2009年7月 5日)

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